はにわ。いま、東京国立博物館が総力をあげて、推している(たぶん)せい、もしくは成果。平日、寒い、雨。結構な条件にもかかわらず、なかなかの人の列。
そう、わたしの推しは縄文。断じてはにわではないのだけれども。せっかく東京にいるのだし、ぽっかりと時間ができたことでもあるし、挂甲の武人も5人そろうことだしし、と理由をつけてやってきてしまった。ごめん、土偶…。
はにわってのは、昨今では美術品として評価されているんだな、ってのをひしひしと感じた。というのも、修復跡ができるだけ目立たないようになっているのだ。考古学資料、として考えるならば、修復部分ははっきりと目立たせたほうが、わかりやすい。修復されたばかりの「踊る埴輪」は、何処が出土したのかガブリ付きで見ないとわからない。昭和の踊る埴輪の写真では、修復部分は一目でそれとわかる状態だったように思う。そのころと比べると、まあずいぶんと立場が変わったってこと、なんだろう。
はにわは、総じて、やさしいお顔立ちをしている。それでいて、おかしみと愛(かな)しみを兼ね備えている。人が人を殺し、人が人を支配し始めた時代に、こんな切ないお顔の武人が生まれたんだと考えると、その時代に生きるということの深さまでも、感じてしまう。
人波にもまれつつ、はにわはにわに囲まれて過ごした時間。一番印象に残ったのが、彩色復元された挂甲の武人・・を見ていたお姉さんが放った一言。
「くいだおれ太郎に似てるね」
そうかな・・もうちょっと・・いや・・そうかな・・・