電車は乗り物でしかない人がサンライズにのったら その1

サンライズという特急電車にせてもらった。乗り鉄さんに移動の話をしたら、ぜひともにこれでいってほしい、時間は合うのか、と散々に確認され。なぜか特急券をいただいた。新幹線か夜行バスか、と考えていたけれど、ありがたくいただいた。その特急券を押さえるのにどれだけの犠牲を払ったのかストーリーに2時間以上付き合ったので、対価としては十分だと思う。

岡山駅での連結をみろ、といわれていたので、確認しました証拠写真も撮る。社会人ほうれんそう、大事。

ひとり旅、二階建ての半雑魚寝シート。座っていれば頭はぶつけない、の1階。完全に横になれるのはありがたいが、枕はない。枕カバーと毛布はある。隣の人と顔を合わさなくてもよいように、窓を頭にして肩くらいまで壁で仕切りがある。つまりシートの3分の2は何の仕切りもない、こんにちわシート。

荷物をごそごそ、枕を作って転がる。床には絨毯、床暖房が効いているのか、寝転がった背中は温かい。蛍光灯とスポットライトで手元を明るくできるので、本を読むのに支障はない。クーラーの風が顔に当たるが、乾燥大敵なお年頃ゆえに、とりあえず止めてみる。

うん、揺れる。

寝転がり、頭を床につけると、ほんとに揺れる。本を読むのもままならない、文字が飛ぶ。電車の車輪が線路を進む鼓動を感じる、といえば聞こえが良いが、このまま本を読んでいたら確実に酔うな、と。寝ころんだまま窓を見上げると、月が見える。この角度で動く月、初めての月。

心地よい、というには少々荒っぽいけれど、電車の揺れを身体全部で受け止めている。線路の上を走る電車の車輪にズームアップしながら、うとうとうと。駅に停車するとくわっと明るくなる。人気が全くないのに妙に明るい深夜帯の駅のホーム。これはこれで、異世界感が楽しい。が、眠い。うとうとと好奇心がせめぎあうと、ぐっすりからは遠くなった。