ころがるレシピ

突然に家を留守にすることになった、1週間。

となると、喰い倒れ種族としては、食材の処理を最優先事項としたい。

主に経済的事情により、うちの冷蔵庫の大半を占めているのは、野菜たち。

根菜はまだいい、彼らの根性に期待する、として。にら、大葉、小松菜、ピーマン、ネギ、トマト、レタス、きゅうり。彼らの運命や、如何に。。。

なんて、もったいないお化けに追いつかれる前に。できるものはカットして冷凍庫へ移動。時間を止めるマジックボックスではあるけれど、容量はドラえもんとはいかないもので。入りきらない分を保存食にして、1週間後の私にプレゼント。賞味期限が切れがち、というか、もう年単位で切れている調味料の大量消費も見込まれて、一挙両得。

自己中な要望を叶えてくれるのは、、、大葉みそ。はい、決定。

すでに根性出し尽くしつつあった生姜と大葉を一緒にきざんできざんで。なんかのシロップに砂糖とだしの素、白みそから進化した赤みそを適当に混ぜた調味液。「いーれーてー」と騒ぎ出したのは、まだそこにいたあぶれ組からトマトときゅうり。水分が多いからなーーとちょこっと、渋る、がしかし。あぶれ組の圧、強し。酢を少しだけ、気もちぶん垂らして、HzP(保存ポイント)をあげれば大丈夫、なような気になる。何年か熟成されたに違いないラー油にも参加を促し、はい、完成。

大葉もみそも入ってるんだから、大葉みそには違いないけれども。

作り始めた時は確かにあった未来予想図を無視して、いつしか創りだされていく新しい未来。完成ではなくて、感性が勝ってしまった、ひょっとしての大葉みそ。。。

気にかかっているもの、目の前にあるものを、味のバランスとか何とかを一切考慮せず、刻んで混ぜて火を通す、そうして最後はお酢頼み。それが私の保存食。

作るもの、から、創るもの、になっていくあたりから、レシピはとっても妖しく変化(へんげ)。おむすびころりんすっとんとん、もかなわない速度でころがりはじめ、「うん、食べられる」が、終着点。変化したレシピもどこかへ置き去られ、結局のところ、味見が料理の羅針盤

せめてもの、足掻きとして。自前の料理で、喰い倒れ、なんてことがないように、古の教えに、倣ってみる。

カエサルのものはカエサルに。

生のものはお早めに。期限あるものは期限の内に。

そう、できるなら。年単位で期限を過ぎた、哀れな調味料たちにも、救済を。