本を、読む。

本を読む。20ページほどで区切りがつく、推理もの。

やっとここまで、きた。

どうにもこうにも、にっちもさっちも、四苦八苦。それに気が付いたときには、ショートショートもまんがも新聞も、テレビもなんなら広告も。よむ、ことはできなくなっていた。どんな媒体も、上滑りする、何が書いてあるのかが、さっぱりと、抜けていく。右から左に抜ける、、ってのを体感するときがあるとは、思わなかった。

情報をとどめるために、手をかけて。それでまた、追い詰められて、、身体も悲鳴をあげていると気が付いたときに、決断した。

情報をとどめるための努力、が必要な環境を捨てようと。話し合った人も、いた。優先順位、という言葉で、捨てられた。いや、捨てられたと、感じた。ひょっとしたら、相手はそんなつもりはなかったかもしれないけれど。話をするのもしんどいと、何もせずに絶った人も、いた。たぶん、すこしだけ、私にとって甘えられる人だった。手紙を書いた人も、いた。甘えてしまいたいけど、ちょっと距離が遠い人だった。

とりあえず、私をとりまいていたすべての人を、断った。こわかった。私を知る人が其処此処にいることが、ただひたすらにイヤだった。部屋の中に巣をつくって、こもる。

朝が来て、夜が来て、朝が来る。そしてまた、夜が来て、朝が来て、夜が来る。

読み始めたのは、4コマまんがから。見開き1ページ、4本のまんがを、1日かけて、読む。そこに、文庫のエッセイ、紀行文。巣から出るか、と思ったのは、陽射しがやさしかったかから。

窓をあけて、本を読んだ。のろのろと読んだ。ずきずきと読んだ。とろとろと読んだ。

そのうちに、外にでていきたくなって。そうしたら、また人とかかわるようになって。それでもやっぱり、巣ごもりをしたりして。そうやって、今、また「物語」が、手の中に、ある。

ミステリ、推理もの、時代もの、SF、ホラー。基本的には雑食で。誰か、の、あたまの中で生まれた世界、に潜り込むのが、好きだった。ダイビングなんてしたことないけれど、本を読んでいると、ときどき水の底から空を見上げているような、そんな感覚につつまれる。その瞬間が、たまらなく、好きだった。

今はまだ、水辺でパシャパシャ、うまく泳ぐことすらできないけれど、でも。ここまでもどって、これた。

だから、やっぱり。趣味は、読書。