男と女の重力

電車で座って寝かかっているときに、目の前の男性のシャツのボタンが取れかけているのが目に入った。たぶん、一度はつけなおしたボタン。一般的なワイシャツの、そのボタンだけは赤い糸。それが、ぶらん、としている。

よそ様のことを言えるような体型ではないけれど、その男性は少しふくよかだった。ちょうどおなかが一番張り出したあたりのボタンで、うん、取れちゃうならそこだよね、な位置だった。

あぶないな、、落ちなきゃいいけど。ま、落っことしたとしても、よくあるボタン、何とでもなるだろう。と、目を移しかけて、なんとなく。

わたしの腹肉はベルトに乗りがち。つまり、自立することをあきらめてだらぁん、重力に完全に負けている。でも、この人のおなかは。なぜに自立しているのだろう、、と。

そういえば、と、わりに混んでいる車内を見渡す。ふくよか率は3割程度。よりふくよかな方を除いたとして、男性のおなかは重力に負けない直立系、女性のおなかは重力に抗わないスライム系、と分類できてしまう。少なくともこの車内、服の上からの観察では、そのように見受けられる(ああ、セクハラ案件な気がしてきた…)。

この差はどこから。。脂肪の弾力とかみっちり度とか、よくわからないけど性別によって生物学的になんらからしの違いがあるのか。それとも、単に鍛えている人とさほどでもな人の違いなのか。

オンベルトしているスライム系の自腹を、そっと周りに目立たぬようにつかんで持ち上げる。がしかし、目の前の男性のようには、ならない。そっと深呼吸で膨らませてみても、そこまで立派に自立はできない。男性のように直立不動、ボタンも飛ばせる、というようなおなかには程遠い。

自立したあの立派なおなかには、何が詰まっているんだろうか(そしてこれもたぶんセクハラ案件の匂い…)。

なんだかんだで、男女平等、機会均等、女性の権利、な時代だけれど。たぶん厳然として性差ってあるんだろうな、と取れかけてるボタンをみながら、生物学的分野におもいいたす。まあ、おなかが自立しがち?だからといって、男性が女性よりえらいわけではないし、女性が男性より弱いわけでもない。身体のつくりがすこしばかりちがうから、できることとかやりやすいこととかは少しばかり違うんだろう、から。そこをお互いに慮れるといいよな、とは思うけど。

ふくよかな男性のシャツのボタンには気をつけなきゃいけないし、ふくよかな女性はスカートもしくはパンツのフックに気をつけなきゃいけない、というくらいには。

とりあえず、電車に揺られ眠気に身を任せつつ、重力の影響を受けない腹肉になる方法を夢にみよう。