鈍行、ゆらゆら

またまた鈍行で3時間旅。なんだかよくよく乗ってますけど、そして寝ていることも多いのだけれど。ごとごとと揺られる鈍行の車窓の景色は、どういうわけか、なつかしい。ぼんやりごとごと過ぎてく景色と一緒に流れていくのは、ひょっとして、とんでもないほどのぜいたく時間。

はじめての場所の景色ですら懐かしいと思うのは、日本DNAのせいかもしれない。ウン十年前のイギリスでみた車窓の景色は、どこをどう切り取ってもなつかしさ、なんてなくって。西洋美術館の風景画みたいだった。新幹線では、車窓の景色もくっきりはっきり。なつかしくてぼんやり、、するほどのヒマもなく。全力疾走で飛び去る風景をみていると、どういうわけか疲れてしまう。

ごとごとごと、と。たまに、がたんとごとん。空気とか湿度とか、そういうそこはかとない、はかないもの、も、鈍行ならば、纏ったままですすめるのかも。お尻から伝わる振動で、線路の上を走ってるんだねえ、、となつかしい景色をながめていると。普段は目を背けておきたくなる、思い出したくもない、「むかしむかし」が浮き上がってくる。だのに、それがどういうわけだか。トクベツでかけがえがなくて、なんか戻りたくなるような、「むかしむかし」があったような心もちになったりして。いいこともあったような気がしてきて、泣きべそかいてたときのしゃくりあげた後の胸のつかえがやってくるのも、やっぱり鈍行だからね。。

新幹線ほどに忙しくない毎日、が正しいかどうかは、わからんけれども。

鈍行で、ゆらゆらしている時間も、好きだ。

鈍行の夕暮れ