雨の季節の終わりごろ、星に願いをささげるたなばたまつり。
近所の子たちと朝早くから集まって、畑の朝露をあつめて歩く。いったん家に帰って、朝ごはんを食べたらもう一度集まって。あつめた露で墨をすり、折り紙で作った短冊にお願いごとを書いていく。何枚も何枚も書いていたことをおもうと、どうにも小さなころから欲張りだったに違いない。そのうえに、いちばんかなえてほしいことは、こっそり後からつるすのだから。
あのときに何を希って、どうかいたのかは、さっぱりすっぱり、消えて去っているところをみると。お星さまは頑張ってくれたのだろう、たぶん。なかなかの煩悩と欲望を、きれいに昇華してくれたにちがいない。慈悲深ーーーいお星さまに感謝を。
尾道の商店街にはためく短冊をみながら、何十年も前のお星さまの苦労をおもった。
頭の上をちらちらと揺れるお願いごとの主には、会いたい人やなりたい人が、やりたいことが、たくさん、あって。透きとおる野望というのは、なかなかに、好し。是非にもかなえてあげてほしいです、お星さま。
見知らぬ人のために、ねがいをおくる今の私は。小さい私よりも、少しだけやさしい人になれたのかもしれない。。。なんて、錯覚の自己満足。だとしても、
ゆかりない土地のたなばたもまた、いとゆかし。