未知との遭遇 からの脱却

動き始めたのは、夕方すぎ。

身体から熱っぽさがだいぶん消えている。おんぶお化けのようなでっかい何かをしょっているような重苦しさは、たぶん倦怠感、というやつだろう。普段かぶっているねこ様ではないはず、だ。

のどは相変わらず、としても。解熱剤なしでうごけるのであれば、ありがたい。ずるずると壁に沿って体をおこし、冷蔵庫からおかゆをとりだす。いいかげんに冷えたおかゆがのどにあたると、すこしきもちいい。飲み下すのは、痛いけど、な。。

久しぶりのご飯は、いい。食べる、ということは、生存には欠かせない。ぼんやりで構成されていた世界が、輪郭線をもちますよ、おかゆの一口で。食べるって、たいせつ~って天使がラッパを吹いてる、そんな世界。

布団にしっかり横になって、テレビをつける。ニュースをみながら、世間さまが今どこの辺にいるかをながめる。すっかりと、おいてかれてしまったぜ。。なんて、溶けた脳細胞が再生されている、、かもしれない。

ぶちまけた薬をよいせ、とまとめて確認すると、何とかという薬の名前はゾコーバということが判明。なんかのラスボス、というか、悪役?っポイ名前やな。。とはいえゾコーバさんのおかげ今がある(らしい)と思われるので、名前何ぞどうでもいい。初日は3錠で翌朝からは1錠飲めばいいらしい。

この薬の副作用がうんぬんかんぬんと書いてある書類もなんとなく目を通すが、いまさらなお話である。飲んでしまった以上、最後まで付き合う所存。というわけで、寝る。

翌朝。のどの痛みで何度か目は覚めたけれども、うがい薬とのど飴で何とかしのぐ。熱っぽさはだいぶん抜けて、37℃ちょっとまで下がっている。おんぶお化けはまだついてきているけれども、たぶん何枚かははがれたな、、というわけで。おかゆさんに手を出す。ちょこっとあっためてからのおかゆ。天使はラッパをふきならし、たべるってすばらしい~という世界観。しあわせなんて、こんなところに落ちてんだから、大丈夫よ、生きてるってスンバラシイ。

たぶん、ゾコーバさんを飲みきるまでは外出禁止、と思われる(そんなことが書いてあった)。がしかし。テレビも見れるし、ネット検索もできる、本だって読める。家の中から一歩も出られなくても、なんてことも、なし。座って過ごす、というぬるいリハビリからはじめても、あと3日は外に出なくていい、なんて天国。

それにしても。ひとりで過ごすリスク、ってホントに身に染みる。ヒトはたぶん群れで生きる生き物なんだわ、きっと。感染症となると、知り合いを巻き込むわけにもいかないかな、、とか。そもそも知り合いも少ないけれども、さ。電話予約って、声でなかったらどうすんのさ、とか。ネットとかと無縁な生活してたら、情報が手に入りにくかったら、とか。

そもそも、コロナ発症するかもよ、っていう前情報がなかったら、さすがに準備は足りてなかった。まだだるだるのおんぶお化けをしょったまま、おかゆ作るのは勘弁してほしい。水だけじゃたぶん干からびてたし、飲むゼリーとスポーツドリンクがあったから、何とか病院に行くだけの体力が残ってたんだと思うから。救急車がちらともよぎらなかった、というのはうそになる。もう、誰かに頼りたい、と思っちゃったのは、本当。でも、ひとりでいることを選んだ(えらばされた?)以上、ぎりぎりまでは自分で何とかしたい、って思っちゃったわけだけど。ぎりぎりの線引き、むずかしい。。これで、一人で死んでたら。。。おそろしく各方面に迷惑、かけるな。。。

もっと年を重ねたときに、どうしているかはわかんないけど。たぶん怖かった人たちが、キズナとかつながりとか、みょうに寒くなりそうなことを言い出したんだな、ということには、納得した。

そうして。

今日で、ゾコーバさんは、終わり。

 

 

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