1万年のオトモダチ

今週のお題「最近読んでるもの」

神保町で古本祭りとぶつかった。出逢い頭の衝突事故みたいなもんだ。その日の予定がすっかり入れ替わる重大事故。先が見えないほどにたくさんのブースと人人人。。その上に、本は重いのだ。かさむ荷物と波にもまれてどんぶらこ。

そんな中での一番の収穫が、「土偶・コスモス」。

平成24年に行われた展覧会の図版と思われる。今年は縄文と縁を結ぶ年らしい。ほとんど運命、というような出会い。通りすがりの神保町で、初めて行き会った古本祭りに迷い込み。砂浜に紛れた一粒の宝石を見つけるような運の良さで、「土偶大集合」の帯をまいた本が目に飛び込んだ。

身体をできるだけ薄くして(気持ち)、人群れをすり抜けて(押しのけて?)、つかんだ運命は、二千円。古本ではなくて、デッドストックと思われる。たぶん、ここでこの子を手に入れなければ、もう二度と出逢えないに違いない。しかと掴んで、ぱらぱらとページをめくると。ハート型土偶と並んで笑顔を見せる文豪。そのあまりにもシュールなフォトグラフは、敢えて言うなら、公序良俗に反してるわけでもないのに、こんなところで見ちゃいけません、って言いたくなるようなツーショット。すべての理性を撃ち抜いた。

まさかの、というか予想通り、というか。その日の予定をほんとにすべてひっくり返して、帰宅。なんと同行者がいたのに、です。同行者には本当に心から申し訳ないことをしてしまった。。。東京で買える外国のお菓子めぐりの一日、がはじめの一歩で崩れさり、本と人の波にもまれるだけもまれた挙句に縄文について熱く語られる一日になったのだから。こうやってまとめると、私だったら途中で別行動を申し出て、二度とこいつとは出かけない、と心に決める。。なんて寛大な同行者なんだ。。まあ、同行者も「本格マドレーヌのつくり方」とかを手に取っていたので、そこそこ楽しめたのかもしれない。今日の予定はどうなったアピールだったかもしれないが。

家で腰を落ち着けて、じっくりと大集合した土偶たちを眺める。ウ〇トラマンと闘ったことがありそうな子やナウ〇カで見たような子、メキシコの古代文明展にいとこが出てませんか、というのもいる。1万5千年は伊達じゃない。日本とか東洋とか縄文とか古代とかの枠を軽々とぶっ壊して、空想と妄想の宇宙を構成。人間といういきものの、生と性と聖と、そんなものぜんぶが放り込まれてここにある、縄文の土偶たち。なんで、どうして、なんて野暮なこと言わないで、って貌で、うひゃっとそこにいる。

晩酌のオトモに、最適解。

 

すでにほろ酔い