縄文の子

手から生み出されたものが好きなのだと思う。

何の話か、、、土器だ。

何千年か前に誰かがつくったモノのかけらを、現代の人が掘り起こして拾い集めて、なんとか形に戻してみた、あの土器。

土器に触ってみますか。。

この一言で、同行者の存在を忘れた(後でちょっとあきれられた)。

ふわふわと後を追い、招き入れられた部屋の中には。修復されてプチプチクッションの上に所狭しとおかれた、土器。ひとつひとつが、なんらかの装飾を施されている。ちょっと縄を押し付けました、って感じのささやかなものから、機能性なんてなんぼのもんじゃいって感じものまで。

うきゃきゃ、とはさすが言わなかったけれども。おんなじレベルの興奮状態の私を一人残して、ごゆっくりと案内人は去っていった。。。

さて、と。

落とせない…となると、落としそうになる、性癖。なうえに、監視人がいない。。なんてむちゃくちゃな緊張感、を押し殺して。とりあえず持てるサイズの子に手をかける。ざわっとした質感のままの手触り。両手でそっと持ち上げると、思ったより軽いような、いやそれでも重たいような。なによりも、しっくりと手になじむ。

何千年前の日本に暮らした人の手が、生んだものに触れるということは。

時空を超えたハイタッチ。。なのかも。

そっとそっと。。と呪文を唱えながら。あれもこれも、、と、息をつめて、持ち上げ、撫でさすり。

部屋中にそろっと挨拶を終えたあとは。じっくりじっとり、語り合う。

しっとりと落ち着きを見せる縄文土器の中にあって、どうしても目をひく派手な火焔型土器ですら。似た表情はあっても、同じ貌をした子はいない。それぞれに与えられた役目があるにしても、それとは別に性格を持つかのように。

だからこそ、ひとつひとつが。何を想って、何のために、どんなふうに。創られ、つかわれ、捨てられたのか。それぞれの物語を、むくむくむくむく沸き立たせる。

空想、妄想、はたまた幻覚、、なんといわれても、かまわない。

遠い昔に。

念いを形に創る人がいて。

遠い未来に。

そのかけらを拾い集めて、形に念いを探す人がいた。

だから、いま。縄文と巡り会える。

隠れムンク、、