晴れたり、曇ったり、雨ったり。
一日でいろんなお天気を体感する羽目になる時期もあと少しになると、めっとりと重たくて、そろそろと熱さをはらみはじめる、空間。次の季節がやってくるのに抗って。あがくみたいに、ギアをあげてくるから、手に負えない。
色で伝えるなら、かぎりなくどんよりにちかいグレー。頭も身体も物理で重い。暑いのは苦手なのに、今の時期はもっと、嫌。日本の四季のどの一部とも思えない、引き取り手のない、梅雨。
ただ、惜しむのは、ひとつだけ。
今、このときに、誰よりも。いっちばんに鮮やかに、季節を切り取る、やつら。
ひよこのようなうまれたての春の光でも、ぐらぐらと煮え立つ夏の光でも、かげをかくしてあたたかい秋の光でも、きりりとすみわたる冬の光でも。
やつらを、これほどまでに際立たせることは、できない。
そうして、また。
やつらも、この空気の中でしかほんとうに咲いていることが、できない。だから、ほんのちょっとのずれで、見事なまでに色褪せて、みせる。
あじさいというやつらは、きっと。
どうしようもなく、この季節に、引き取り手のないはみだし子の梅雨に、恋をしている。
恋するおんなは、きれい
だから。
道々で、やつらの恋に、エールを送る。すぎる季節に、やつらをそっと、惜しんで、見送る。
今年の恋が、終わるまで。