むかしばなしに彼岸花

子どものころ。家に持って帰ってきちゃいけない、といわれていたのが、彼岸花とタニシ。

とっても田舎育ちなもんで、たぶん、同世代の人よりも、時代が古いのだけれども。子どもの頃、川に洗い場があって。おばあちゃんが何人かそこで食器やら洗濯物やら洗っていて、おばあちゃんたちがいないときは子どもの遊び場になっていた。なんてそんなむかし、を持ってる人、なかなかにいないんではなかろうか。いや、子どもの頃には洗濯機も冷蔵庫もテレビも普通に家にあったし。ただ、田舎だっただけなんだ、、、公園も一応あったけど、公園より川のほうが楽しかったと思う、たぶん。川に落ちてる石で色水作ったり、小さな魚を捕まえて、水族館と称するものを作ったり。その辺にあるすっぽん(って呼んでたけど、本当はなんていうんだろう。。亀っぽい動物ではない、植物です。)をかじりながら遊んでたもんですが、何か。

つくしとかゼンマイとかわらびとか。採って持って帰ると迷惑がられはするけれど(今ならわかる。下ごしらえが面倒なうえに、採ってくる量が中途半端だった。。)、怒られはしなかった。ウナギとか川ガニの大きいのは、喜ばれた。蛇は、怒られたというか、迷惑がられた。蛇の皮は、それほど興味を持たれなかった。鹿の角は、じいちゃんと父さんには喜ばれた。まむしは触らなかったけど、報告はしてた、あそこにいたよ、と。

ま、そんな、非常に牧歌的なこども時代の思い出の中で。彼岸花とタニシは、ばあちゃんにこっぴどく怒られた。曰く、彼岸花を持って帰ってくると、家が火事になると。タニシはなんだったかな、、ともかく家をつぶす気か、ぐらい怒られて、泣きたい気持ちで川に投げに行ったことを覚えている。タニシで遊ぶことについてまでは怒られなかったけど、家に持ち帰る、というのがどうもいけなかったらしい。

タニシを見ることはほとんどないけど、彼岸花を見るたびに思い出す。田んぼの畦でまさに燃えさかる彼岸花、そろそろと稲刈りがはじまって、祭りもちかい、そんな季節。

街で彼岸花を活けてあるのを見かけると、どきどきしてしまうのは、子どもの頃の刷り込みのせい。美しく華やかに活けられた彼岸花は、ランプシェードにキャンプファイヤーを閉じ込めてしまったような、危うい魅力。でも、コワイ。夜になると、炎を生んでいませんかね、いませんね。。

というわけで、今も。彼岸花を家に飾ることはない。

ただ、結構好きな花では、ある。

今年の初めまして。