雨やどり

むしっとした空気がまとわりついて、陽射しがどこか白っぽいような中での外作業。首巻きタオルはマストアイテムで、それほど暑いってわけでもないのに、汗が目に染みる。午前中には作業を終えて、ひと段落。ほとほとほと、お散歩にでかけてしばらくで、西の空が消炭色。家まで戻るには、まだちょいかかるってなときに、雷鳴二回。やばい、雨が来る。

走り出す前に、アスファルトに、ぼとっ、ぼとぼと、と、シミが飛んできた。五百円玉よりもでかい、おっきな黒丸。だもんで迷いなく、ヒトんちの軒先に避難。案の定の、土砂降り開始、である。

ゆったりめの軒の下で、ぼんやり。わりとまっすぐに落ちてく雨粒を目で追っていた。道路の向こうには、これまたヒトんちの庭が見える。生け垣はわりと低めで、金木犀やらの樹が数本と、南天、つつじ、紫陽花なんかがのぞいている。庭木とか草花とか、もうちょっと見分けられるオトナになるはずであったのに。年の功とか女子力とか、そういうのはほとんど超能力みたいなもので、選ばれた人だけにわいて出る力なんじゃなかろうか、なんてことを考えつつ。なんともなしに、庭の草木を数えていたらば。ひゅっと横切ったのが、小鳥。樹の幹に近い枝にとまる。と、また小鳥、そして小鳥。それぞれが別の樹にとりついて、ついついついっと葉っぱの中に消えていく。スズメではなくって、でも町中でよく出会う、尾は黒くてグレーと白の小さいやつ(このへんも、見分けられるオトナになるはず、であったんだけれども、ね・・)。

さらに茫然とほんの少しの時間が過ぎて。少し落ち着いてきたけれど、でもまだもうちょっとここにいよう、ってくらいの、雨。空を見上げると、電線に小鳥が数羽、羽をぱたぱたさせていた。雨やどりにはぐれたのか、これくらいなら水浴びがてら濡れてしまえ、ってなタイプなのか。ちょっと遠いので、庭に逃げ込んだ子たちのなかまなのかどうかまではわからない、けれど。

それからほんのしばらくで、雨がやんだ。でも、まだ空は薄墨色。冷たくなった空気の中を、すたすたすたと歩き出す。ツバメがツイっと横切って、ぱたぱた急ぐ小鳥も見える。まだ降るのか、もう止むのか。

雨の季節が、ついてくる。