目が覚めたら、部屋の中に1mくらいの鉢植えがあった。
オリーブのような立派な木。置くならそこかな、、という場所に、ある。あたりまえのような光景。
これが、なぜか。とてつもなく、どうしようにもなく、こわかった。
鉢植えから、あとずさる、、けれど、身体がおそろしく重くて。喉の奥で声が凍る。まさしく恐怖で凍り付いた身体を引きずって、部屋から出る。。。
というところで、夢から覚めた。
起き上がって明かりをつける。部屋の中には鉢植えはない。時計の針は3時すぎ。まだまだ眠れる、、けれども。
からだに残る恐怖で、目をとじることもできない。あかりを消すこともできず、とりあえず横を向いて丸くなる。からだの中でくすぶりつづける、違和感。
目が覚めたはずが、夢の中。何年かに1度、そんな夢を見る。私にとって、この、現実とは少しずれた世界で目覚める夢、は。一番の、そしてかなり長引く、悪夢、だ。
何かに追いかけられても、人外がいても、殺されそうになったとしても。それが見たことがあるような、あいまいな場所であれば。こわい夢みたわ~、と陽の光にとけて消える。
でも。現実と同じ手触りを持つ世界で目覚める夢、は。心のどこかにしみをつくる。そっちの世界で何があったわけでもなくても。きちんと朝を迎えて、いつもの毎日が滞りなく流れだしても。どこかが、なにかが、、、と。まとわりつくのは、何なのか。
何年ぶりかの悪夢は、ひたすら重く。獏の渡りを、待ちわびている。